Zoffの集中力アップ眼鏡を3Dプリントで自作しました

わざわざ記事にするレベルではないと思ったのですが、
ブログの更新がご無沙汰になっているので、最近作ったものについて書きます。


今回の作ったのは集中力をアップさせる眼鏡です。
正確には眼鏡に装着して視野を狭くするもので、競走馬の視野を制限する「ブリンカー」と呼ばれるものと同じです。


なんでこのブリンカーを作ろうと思ったのかについてですが、
Zoffから同様の商品が今年の1月に発売されており、少し試してみたいなぁと思っていたのですが、
7700円(税込)という価格と、そもそも売り切れ中で買えないという問題から先送りにしていました。
www.zoff.co.jp



でもよくよく考えてみると、「このカバーなら自分で作ればよくね?」と思い、
また記事のネタにもなるので自作することにしました。
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眼鏡本体のモデリング

おおまかな流れとして、ブリンカーのモデル含めて左右のうち片方のみのモデルを作成し、ミラーで複製・合成して全体的なモデルを作成します。

今回眼鏡本体として使うのは、自宅にあったjinsブルーライトカットメガネです。
型番は"Air frame PC-12A-101B 94 53□16-141O27"と書いてあります。
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まずは、以下のサイトで1mmの方眼紙のデータを作成し、印刷します(コンビニのカラープリントだと綺麗に印刷できました)。
houganshi.net


印刷した方眼紙の隅のほうに眼鏡を置いて、下の写真のようにフレーム外形をなぞります。
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方眼紙に書いたフレーム外形をFusion360のスケッチに落とし込みます。
作業としては、フレーム外形の上部と下部に関して、X方向に1mm間隔でY軸座標を点としてプロットしていきます。
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プロットした点をスプライン線で繋いでいきます。
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フレーム中心線と眼鏡の端の形のスケッチも書くと下図のようになります。
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今度はレンズの外形のスケッチを作ります(とはいっても使いやすさに大きくは影響しないと思うので適当です)。
フレーム外形を利用して、レンズを拡大したような形になるようにスケッチを追加します。
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この外形を縮小していい感じの大きさにすればレンズ外形の完成。
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このレンズ外形とフレーム外形の間の部分を選択して押し出すことで、フレームの外形ができあがります。
自分の場合は3.5mmの押し出し量でやりました。
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このままだとフレームもレンズもぺったんこなので、曲率を持たせます。
これも方眼紙を用いて、フレームおよびレンズの曲がり具合がだいたいどれくらいか計測し、
曲がり量に応じてフレームの前面、後ろ面を1mm間隔で押し出して曲面をモデリングします
(正確には段差で作る疑似的な局面ですが、ブリンカー作成時にフレームとの干渉を考える目的しかないため、これでOKです)。
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次につるの部分を作ります。ノギスで位置や太さ、角度を測って、大体の位置にえいやで作りました。
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ブリンカーモデリング

ブリンカーモデリングをしていきます。
といっても、これまでに作ったフレームのモデルと干渉しないように、良い感じの形を試行錯誤してモデリングするだけなので詳細は省きます。
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一つだけポイントを挙げると、ブリッジの部分(真ん中のつなぎ目)はできる限り薄くした方がいいです。
フレーム外形のモデル自体が実物と寸法の誤差があるため、ブリンカーも多かれ少なかれ必ず誤差が存在します。
ブリンカーを装着した時に、薄いブリッジの部分が湾曲したり伸びたりすることで、フレームとの誤差を吸収してくれます。


3Dプリント

ここまではフレームとブリンカーを片方だけ作ったので、ミラー・結合で全体を完成させます。
(わかりやすいようにフレームを黒、ブリンカーを白にしてます。)
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これをDMMで3Dプリントしてもらいました。製作費は2302円でした。


また、githubにフレームとブリンカーstlファイルを置いています。もし参考にしてくれる人がいたら喜びます。
余談:githubに上げたstlファイル、github上でモデル形状が確認できることを知って感動しました。前からこうだったかな?
github.com
github.com


結果とまとめ

こちらが実際に3Dプリントしたブリンカーです。
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フレームに装着するとこんな感じ
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完璧にモデリング出来ていないためところどころ小さな隙間があったりしますが、
1発目にしてはかなりいい感じに仕上がったと感じています。


実際装着してみると、左右の視界をかなり遮ってくれるように感じました。
既成品と比べても、あと2回作り直してもお釣りがくるコストなので、
もっと最適化・調整して使いやすくしていきたいですね


是非、皆さんも現在持っている眼鏡に合わせて自作してみてください。